BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

コクサギ(ミカン科)

Orixa japonica Thunb.

コクサギ

<特有な臭気を持つ薬用低木。根は中国では臭山羊といい、解熱や止痛に用いられる。>

コクサギは、日本では青森県から宮崎県南部まで、朝鮮半島南部、中国に分布する1属1種のミカン科の落葉低木です。樹高は人の背丈よりやや大きいくらいになり、山野の木の下に生えます。
葉は長楕円形あるいは倒卵形で先は尖り、無毛で互生しますが、特徴的なのは片側に二葉ずつ出る変則的な互生で、この葉の着き方はコクサギ型葉序と呼ばれています。
葉に特有の悪臭を持っており、クサギ(臭木)のような臭いがあって小形であることからコクサギ(小臭木)と名付けられたとされています。しかし別の説では、「こくさ」に堆肥の意味があり、かつてはこの若葉を堆肥に入れて穀類の肥料としていたことから「堆肥にする木」の意から来ているとも言われます。
雌雄異株で、4月頃に葉腋に黄緑色の小さな花をつけます。果実は4つにわかれた蒴果になり、開裂して種子を飛ばします。
特有な臭気はカンフェンやリナロールで、ピネンやテルピネオールなどの精油成分を含むほか、全株にコクサギンをはじめとして特有のアルカロイドを含むことが知られています。
中国では、根を臭山羊といい、解熱・止痛の効果があるとされて、風邪の熱、咳、のどの痛みや、歯痛、胃痛や関節炎などに用いられます。
また枝葉の煎液は、家畜の皮膚の寄生虫の駆除に外用することもできます。かつては枝葉を刻んで便槽に入れて蛆殺しにも使用されたそうです。