BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

カイソウ(ユリ科)

Drimia maritima (L.) Stearn

カイソウ

地中海沿岸やカナリヤ諸島に分布する多年草です。重さが2kgにもなる巨大な鱗茎(タマネギのようなもの)をもっています。そのため英語で”sea onion”と呼ばれ、和名も「海のネギ(海葱:かいそう)」となっています。

ハマユウに似た葉を根出します。葉が枯れた後、高さ1m以上になる花茎を伸ばし、白色の花を多数総状につけます。

紀元前からエジプトやギリシャでは薬用植物として利用されてきました。大きな肉質の鱗茎を細かく刻んで乾燥したものが生薬「海葱」です。この鱗茎には強い強心作用のあるステロイド配糖体が含まれていて、利尿、去痰、催吐、強心に用いられます。しかし、強い毒性もあり、100gでヤギやヒツジが死ぬといわれています。毒性を利用し殺鼠剤として用いられたこともあります。鱗茎が赤いタイプと白いタイプがあり、主に薬用とされるのは白い鱗茎のものです。
日本では、観賞用として栽培されることがあります。