BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ハマザクロ (マヤプシキ)(ミソハギ科)

Sonneratia alba Sm.

ハマザクロ (マヤプシキ)


<人工海水によるハマザクロの育生>

2005年に8月12日にハマザクロを播種したところ8月22日に発芽しました。その後、第1本葉は展開したのですが9月の末に枯死しました。生長が止まり第2本葉も展開しないままでした。生長しなかった原因をいろいろ考えたですが、ハマザクロの生長には海水が必要ではないかということに考えが及びました。

2009年6月12日に真水(水道水)区と海水(人工海水)区の2播種床を準備しハマザクロの種子を10粒ずつ播きました。6月19日に最初の発芽が始まり、次々に発芽が起こりました。発芽に関していいますと、両区とも、ほぼ100%の発芽で真水区と海水区で発芽率の有意差は無さそうです。ところが一つ問題が発生しました。ハマザクロの種皮はとても硬くて子葉が展開できず、そのまま枯死する個体が続出したのです。そこで意を決して発芽個体を取り出し、種皮を指先ではがしてやり、埋め戻す方法を取りました。そのとき子葉が切断された個体は当然のごとく死んでしまいました。

発芽後は両区とも人工海水の5%溶液を灌水して育生しています。しかしハマザクロの実生の生長はとても遅く、本葉の出現を視認できたのは7月13日で発芽後24目です。一般に塩性植物は塩分対策に エネルギーを消費するために生長が遅いといわれていますが、それにしても遅すぎます。ハマザクロの自生地で小さな実生個体を発見できなかった理由が分かったような気がします。マングローブ林地帯で発芽した実生のうち成木になれるのは、おそらく数百万個いや数千万個に一個ぐらいなのでしょう。

今後、第2本葉が展開しましたなら、このコラムで続報として掲載いたします。