BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

スイカズラ(スイカズラ科)

Lonicera japonica Thunb.

スイカズラ

<スイカズラは日本全国をはじめ、朝鮮半島、中国、台湾に自生しており、晩春から初夏にかけて写真のように花筒が長く上部が唇状の花弁を上下に広げた花が、二個並んで咲いているのをよく見ることができます。花は良い芳香をもち、はじめは白くやがて黄色くなりますが、白と黄色の花が同時に見られることも多く、その色あいから金銀花(きんぎんか)とも呼ばれます。

常緑のつる性木本で、つるは右巻きで周囲の木に絡みついて良く伸び、若枝は毛で覆われていますが後に毛は無くなります。葉は楕円形で対生し、大きさは3~7cm程度で葉縁は全縁、冬でも葉が落ちないことから漢名で忍冬(ニンドウ)と呼ばれます。果実は球形で秋になると黒く熟します。

筒状になった花を引きぬくと甘い蜜があり、これを吸って楽しむことからスイカズラという名前がついたとも言われています。

欧米では観賞用にも栽培されていますが、野生化して畑地の雑木になってしまって、厄介視されているそうです。

鑑賞しても美しい植物ですが、薬用としても知られます。生薬としては、花を金銀花、茎と葉を忍冬あるいは忍冬藤(にんどうとう)と呼びます。

花は、フラボノイドや脂肪酸を含み、単独あるいは他の生薬と配合した漢方処方として、解熱、解毒剤として、流行性感冒やできものなどに利用します。また、生の花や蕾は香りが良いので、忍冬酒として薬用酒にされます。この忍冬酒は利尿作用があって、膀胱炎、腎臓病や皮膚病、強壮にもよいとされます。

茎や葉は、秋から冬に取って天日で乾燥して生薬とします。タンニン、サポニンやフラボノイドなどを含み、利尿、鎮痙、抗炎症、抗菌作用などがあり、解熱、解毒、化膿性疾患、神経痛、リウマチの疼痛などに利用されます。ニンドウは汎用される生薬として現行の日本薬局方にも収載されています。

また両者とも浴剤として、腰痛や痔の痛み、あせもやただれに用い、肌をきれいにし美容にもよいとされています。

身近にあって薬としても利用されてきた植物のひとつです。