BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ワサビノキ(ワサビノキ科)

Moringa oleifera Lam.

ワサビノキ

ワサビのような辛味があるので、このような名前で呼ばれています。インド原産の落葉性の高木です。世界の乾燥した熱帯地域を中心に栽植されています。

樹皮はコルク質で肥厚し、白みを帯びた緑色をしています。葉は3回羽状複葉に細かく分かれますが、全体の長さと幅が50cmもある大きなものです。総状の花序をつくる花は、黄白色で芳香があります。果 実はサヤインゲンのような長い円柱形で、その長さは長いものでは60cmにもなります。

若葉や花は、野菜として食用にされます。辛味は、根で特に強く、香辛料として利用されます。種子からは「ベン油(Ben oil)」とよばれる油が採れ、油絵の具用、香油の原料にされます。また、根、葉、種子は、薬用としても利用されます。

ワサビノキが属するワサビノキ科は、小さな科で、フウチョウソウ科やモクセイソウ科と近縁で、フウチョウソウ目に分類されています。この目の植物(ワサビノキ、ケーパーなど)は、アブラナ科植物(ワサビ、ワサビダイコン、カラシナ、クロガラシ)と同様に「カラシ油配糖体(シニグリン)」と「ミロシン細胞」を持つことが知られています。ミロシン細胞に含まれる酵素の働きにより、シニグリンから独特の鼻にぬける辛みのあるカラシ油が生じます。

(註 2001年当時採用していたクロンキスト分類ではフウチョウソウ目Capparalesでしたが、現在のAPG分類ではアブラナ目Brassicalesに含まれます)。

タイの市場で売られるワサビノキの花と葉

果実をつけたワサビノキ(タイで撮影)

タイの市場で売られるワサビノキの果実